笹井宏之『えーえんとくちから』

笹井宏之『えーえんとくちから』

夭逝した歌人の遺した歌集。
15歳から日常生活もままならない病状となり、26歳で亡くなったことから、死ぬこと、不自由な生への思いや感覚が溢れている。
相変わらず短歌としての優劣はわからないけれど、それよりもモノの見方や捉え方が独特で、世界を自分の形で切り取ってみせることができるひとなんだなと感じた。
亡くなってしまったことは残念ながら、そうじゃなければこういう歌は詠めないというところが、また難しい。

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この星に消灯時間がおとずれるときも手を繋いでいましょうね
晩年のあなたに窓をとりつけて日が暮れるまで磨いていたい
切れやすい糸でむすんでおきましょう いつかくるさようならのために
切らないでおいたたくあんくるしそう ほんらいのすがたじゃないものね
五月某日、ト音記号のなりをしてあなたにほどかれにゆきました
単純な和音のままでいましょう、とあなたは朝のひかりの中で
しあきたし、ぜつぼうごっこはやめにしておとといからの食器を洗う
スプーンに関心のある親指とない小指とのしずかな会話

(読了日:14/2/20)

 

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