石田千『月と菓子パン』

石田千『月と菓子パン』

東京の下町情緒残る町で一人暮らしをしている筆者のなんでもない毎日を描いたエッセイ。
馴染みの店や近所のひととの交流、美味しい食べ物の話題など些細だけど豊かな情景が浮かんでくる。
時代や場所は行ったり来たりするが、おおむね2000年前後だろうか、携帯電話もあまり普及しておらず、小さな商店にも活気があった頃。

居酒屋で偶然出会ったひとと酒を酌み交わしたり、何軒もある豆腐屋を使い分けたり、猫をかまったりと、
一人暮らしの寂しさや、逆に吹っ切れた感もなく、ただ毎日をコツコツ積み重ねている足あとが心地よく読める。

ただ90年代もこんなに遠く懐かしくなったのかと思うと少しせつない気持ちになってしまった。
こんな日常が当たり前に日本にあったことに少し驚いてしまう。
実は今も残っているのだろうか。

(読了日:14/2/24)

 

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