長野まゆみ『夜啼く鳥は夢を見た』

長野まゆみ『夜啼く鳥は夢を見た』

蓮の咲く沼の近くの別荘にやってきた兄弟と従兄、3人だけの物語。
紅於(べにお)は体の弱い弟・頬白鳥(ほおじろ)を連れて祖母の家を訪ねる。
祖母と2人で暮らす従兄の草一と折り合いが悪い紅於は居心地の悪さを感じながら別荘で過ごしている。
頬白鳥は無邪気に沼遊びに興じ、紅於が止めるのも聞かずに沼に近づきたがる。
そして頬白鳥はひたすら沼に沈みたがる。

少年たちが沼でボートに乗ったり散歩をしたりと、ストーリーは特にない。
ラストは不穏な雰囲気。
結局三人はどうなってしまったのか、謎のままで終わる。
全体を仄暗く、不安定な空気が包んでいて、読んでいて不安感が消えない。
沼、蓮の花、鳥の鳴き声のように響く笛、水蜜桃などのモチーフが繰り返し出てくるので同じ場所をぐるぐる回っている感覚がある。

ふんだんな挿絵は著者の長野まゆみが手がけたということで、余計に独特の雰囲気を漂わせている。とても妖しくてつかみ所のない世界。

(読了日:14/4/3)

長野まゆみ『夜啼く鳥は夢を見た』
出版社: 河出書房新社

 

Pocket