藤野千夜『少年と少女のポルカ』

藤野千夜『少年と少女のポルカ』

『少年と少女のポルカ』
男子高に通うゲイのトシヒコは陸上部のリョウに片思いをしている。
トシヒコと同じクラスのヤマダは女性になるためホルモン注射や手術をし、女子の格好で通学する。ヤマダはトシヒコに好意を抱いており、ちょっかいをかけるがトシヒコはゲイである自分は認めても、女になりたいヤマダを理解できない。
トシヒコとヤマダの視点交互に、高校生の日々を描いていく。

トシヒコもヤマダも、自分の性癖を受け入れ穏やかに暮らしている。
対して、トシヒコの幼なじみとして登場するミカコは頭の良い、ごく普通の女子高生だが、心が不安定になって電車に乗れなくなり、家の近くをぶらぶらして過ごしている。
異質である2人が自分なりに生きているのに対し、普通のミカコが学校に通えない状況というコントラストが効いている。

普通であることはどういうことか、普通なんてあるのかわからなくなる。ただ物語は深刻でなく、大層な事件が起こっているだろうにあっけらかんと描かれているから読んでいて悩んだり考えさせられることはない。
ただぽつぽつと、引っ掛かりが残る。
性同一性障害とか、同性愛とかをごく普通の高校生活にひそませることで感じ取るものがある。

『午後の時間割』
進学校を卒業し、浪人生活をはじめたハルコは、自分が「64歳である」と思い込んで過ごすことにする。
”委員長”とあだ名される美人の友人と気ままに過ごし、東大に現役で進んだと推察されるテシロギ君とデートする物語である。
屋上で煙草を吸ったり修学旅行で酒盛りするような高校生活の回想と、マイペースな浪人生の日々が自然に交じり合って進んでいく。
結局ハルコは失恋する。
読んでいる途中で感じる予感通り、テシロギ君はゲイで、ハルコとは友人以上になれないのだ。
ハルコは妄想家だけれど、リアルな妄想ができるということはある意味現実をしっかり捉えられているということであると思う。
自分が64歳でないと認めざるをえないことを確信したハルコは、誰もがいつかは現実と向き合わなくてはいけないことを暗示しているように思えた。

(読了日:14/4/8)

藤野千夜『少年と少女のポルカ』
出版社: 講談社 (2000/02)

 

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