青山七恵『お別れの音』

青山七恵『お別れの音』

なんてことない日常も、丁寧に書けば物語になる、という印象の短篇集。
働く人たちの些細な出来事を、これでもかと詳細に書く。
言葉の選び方や緻密な文章は一定の評価を受けるんだろうけど、物語としてワクワクするのもを感じないから、たぶんこういうタイプの話は自分は好きではないんだな、と感じる。

最も起伏が無く、一番丁寧にオフィスの風景が描かれている『新しいビルディング』が裏に含むものが濃い気がした。
あまりやる気のないOLを主人公として、ふたりきり個室で働いている先輩が産休に入るまでの日々を描いている。くどいのだが、微妙に揺れ動く心の感覚が伝わってくる。

一文字ずつ物語を読む気力がないときに手を出すとまったく楽しめないんだろうな、と思った。

どうでもいい出来事を懇切丁寧に書いて物語になるということは、そこから拾い上げる何かがあるということなのかもしれない。
それをできるメンタリティがあれば。

(読了日:14/4/27)

青山七恵『お別れの音』
出版社: 文藝春秋 (2013/9/3)

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