島本理生『あなたの呼吸が止まるまで』

島本理生『あなたの呼吸が止まるまで』

舞踏家の父と二人で暮らす小学六年生の女の子・朔が主人公。

小学校のクラスという世界で起きるいざこざがとてもリアル。どの子も、こういう子いたなあと自分の小学生時代を思い出してしまう。
影響力の強い女子グループに迎合しない、芯の強い女の子に好感を持ち、大人びた男の子に恋心を抱く。
そんなごくふつうの小学生の日常をベースにしながら、
父親の仕事仲間である佐倉さんというおとなの男性へあこがれが物語の本線に絡んでくる。

文章が敬体で書かれているのは、”子供のための物語”を書くという朔の夢を映しているからだろう。
たしかに子供向けの本であるような文体である。
幼稚さはないのだが、小学生の世界のあまりの狭さに苦しくなってしまう。
またおとなになったからわかるおとなの狡さを垣間見ることは、
子供の頃のは気づかなかった悪意ある経験を思い出すことになる人がいるのではないか。
そう考えるとおとなにとって残酷な物語である。

大人から見た子供、子供にとっての子供らしさ、子供から見た子供、それぞれの描写が巧みであると思う。深い考察が垣間見える。

(読了日:14/4/29)

島本理生『あなたの呼吸が止まるまで』
出版社: 新潮社 (2011/2/26)

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