高田郁『天の梯』

高田郁『天の梯』

 

みをつくし料理帖シリーズ完結の巻。
野江の身請けが現実的な目標となり、つる家も新たな料理人を迎え変化を受け入れる体制となる。
案外残酷な展開となったりしていたから、どんな終わり方にをするのか想像がつかなかったのだけれど、正に大団円となって幸せな終幕となった。
しばらくナリを潜めていたライバル店も久々に登場、最後の最後でどうなるのかと思ったけれど、物語としては最終盤のため、トラブルにも穏やかな気持で臨めた。
野江についてはかなり駆け足感を感じたものの、最後だし、綺麗に畳んだのだろう。
番外編という形で補足が出るようなので少し物足りない部分は補完されるだろう。

全体を通して結末に向けて進んでいくのだが、4話それぞれのストーリー性も高く、またこれまで出てきた名物料理やエピソードも顔を覗かせ、懐かしく感動が蘇る。
人情と優しさに溢れ涙もポロポロ。最後まで心満たされた。

澪の恋について、小松原さまとの別れを決意し料理の道に進んでから、女としての幸せはないのだろうか(それこそ野江とふたりで料理屋でもやるのだろうか)と思っていたけれど、ちゃんと幸せな結末が用意されていた。
そもそも最初は源斉先生とくっつくと思っていたから、本来の線に戻ったとも言えるけれど。

ただその分最後に小松原さまとの邂逅は複雑な気持ちだった。
あまりにその存在が大きかったからやっぱり心残りがある。

ともあれ、最初から最後まで捨て所も中弛みもない稀有なシリーズだった。
また最初から読み返してみようと思う。

(読了日:14/8/16)

高田郁『天の梯』
出版社: 角川春樹事務所 (2014/8/9)

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