恒川光太郎『私はフーイー』

恒川光太郎『私はフーイー』

沖縄を舞台にしたホラー短篇集。
幽霊系の怖い話というよりはファンタジーがかっている。

巻頭の『弥勒節』がストーリー性乏しくイマイチしっくりこなかったのだが、残りの話はストーリーに起伏があって楽しめた。

『クームン』
さとうきび畑に囲まれた集落で育った少年が出会った妖怪『クームン』について。

『ニョラ穴』
衝動的に男を殺し、事故に見せかけるため無人島に身を隠した主人公は、謎の男と島の奥の穴に住む存在に出会う。

『夜のパーラー』
パーラーを営みながら売春させられている女と親しくなった主人公。
女の願いが意外な形で成就し、男の人生が崩壊する。

『幻灯電車』
幼いころに父が蒸発し、母と姉と暮らしていた主人公。
家族の弱みを握る男の存在を邪魔に感じていたところ、毒を手に入れ男を殺す。
江戸川乱歩あたりのミステリにありそうな話だった。

『月夜の夢の、帰り道』
他とは少し毛色の違う作品。
最悪な出来事ばかりが降りかかり人生が崩壊してしまった男の半生が描かれるのだが、最後に救いが訪れる。

『私はフーイ―』
異国から流れ着いたフーイ―という女は、いろいろな生物に変身する能力があった。
毒蛇に噛まれ死んでしまうが、数十年後、ある少女に転生する。
2人目のフーイーが死んだ後、また時を経てフーイ―は生まれてくる。

よくこんな設定と展開を考えられるな、と感服するし、ハッとするような展開の作品も多いのだが、なんとなく密度が薄い感があった。
寓話っぽいテイストのせいかもしれない。

(読了日:14/10/18)

恒川光太郎『私はフーイー』
出版社: メディアファクトリー (2012/11/30)

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