有栖川有栖『怪しい店』

有栖川有栖『怪しい店』

久しぶりの作家アリス新作短篇集。
期待値通りの作品というのもそれはそれで価値がある。
今回の5作はどれも個性があって飽きない組み合わせとなっているのもよい。

このシリーズはアリス目線でない作品に印象的なモノが多い気がするが、今回も古物商を営む男が殺害された事件の真相を暴く『古物の魔』、愛人を殺害した男が火村先生に追い詰められていく『ショーウィンドウを砕く』の2作が面白かった。倒叙は多くないけど味があって好き。

今回は人が死なない話も2作。
掌編『燈火堂の奇禍』では、偏屈な古本屋主人が遭遇した万引き事件を知ったアリスが火村先生に話をして解決に導く安楽椅子探偵型。
『潮騒理髪店』では火村先生が海辺の町で見聞きした不可思議な人々の行動をアリスに謎かけして、真相を推理する形。

表題作『怪しい店』は最もスタンダードなパターン。
人の悩みを聞くという商売をしている女が殺され、複数浮かぶ容疑者から絞り込んでいく。

ヘビー級に印象に残る話はなかったが満足度が高い一冊であった。事件以外のふたりのやりとりも味わい深いのである。
しかしこのコンビの年令にだんだん近づいてきたという事実にクラクラする。

 

有栖川有栖『鍵の掛かった男』
有栖川有栖 『菩提樹荘の殺人』

(読了日:14/12/7)

有栖川有栖『怪しい店』
出版社: KADOKAWA/角川書店 (2014/10/31)

Pocket