三崎亜記『手のひらの幻獣』

三崎亜記『手のひらの幻獣』

新刊は中編2作。
『動物園』(『バスジャック』収録)、『図書館』(『廃墟建築士』収録)の続編となる。
別の物語だが世界がリンクしている、というパターンはよくあるのだが、明確に続編というのは珍しい気がする。
『図書館』から6年後の設定で、過去2作未読でも支障はないが、作品世界や設定が込み入っているので読んでいたほうがわかりやすい。

「表出」という、幻覚を創りだす能力を持って生まれる者が一定数いる世界。
全作を通して表出能力を持つ女性を主人公としている。
主人公の日野原柚月は表出の能力を利用して動物園で動物の幻覚を来場者に見せるという仕事をしている。業界の老舗であるハヤカワ・トータルプランニングに勤めて12年。社長とは微妙な男女関係である。

1話目の『研究所』では、日野原がとある謀略に巻き込まれる。
2話目の『遊園地』は『研究所』から7年後の設定で、柚月はまたも大きなトラブルに遭遇する。その中で過去のトラウマや社長との関係が解決し大団円、という流れ。

表出の説明と、それにまつわる説明が全体の1〜2割あって、かなり冗長な感じがある。アクションシーンも魔法の説明のような感じで、理解のためにワンクッション置かれるせいでスピード感が乏しい。
いっそ社長との恋愛話にすればいいのにと思うのだが。

三崎亜記は最近どうも内容的に首をかしげるものが多いのだが、これまた読者を選ぶ話を書いたなあという感想。
結末はかなりわかりやすかったけど。

(読了日:15/5/12)


出版社: 集英社 (2015/3/26)

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