青山七恵『すみれ』

青山七恵『すみれ』

140ページ程度のとても短い物語である。
中学3年生の藍子は、特別に頭がよいわけでも悪いわけでも、不良なわけでもない、ごく平凡な女の子である。
出版関係の仕事につき成功している両親の元、平和に暮らしていたが、ある日、両親の友だちの「レミちゃん」が家に転がり込んでくる。

レミちゃんが普通の人とちょっと違うところがあることを察した藍子だが、レミちゃんとは円満な関係を築いていた。
37歳になったのに定職に就かず、ふらふらしているレミちゃんだったが、小説家になりたい藍子は小説家を目指していたレミちゃんに親近感を持ち、楽しく暮らしていた。

しかし、受験のストレスとレミちゃんの自分勝手な行動が積み重なって、レミちゃんとの時間が耐えられないものとなっていく。
これは大人になりきれないレミちゃんを横目に、大人になっていく少女の物語である。

レミちゃんはいわゆるメンヘラで、自分らしく生きているが憧れる生き方、というわけではない。藍子はどこかレミちゃんを見下しているような部分がある。

この物語は藍子とレミちゃん対藍子の両親という対比でもある。
社会的な成功をおさめる人と、そうでない人。
藍子はレミちゃんとの日々から何を学んだのだろうか。その辺りがぼんやりしてしまった。

断片はよいのだが、物語全体に握力がなくてひっかかるものがなかった。

 

(読了日:15/5/24) 

青山七恵『すみれ』
出版社: 文藝春秋 (2015/3/10)

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