江國香織『きらきらひかる』

江國香織『きらきらひかる』

10数年前に読んだ、初の江國作品。

当時は、起伏が乏しく、緩慢として、よくわからない恋愛物語だと思った。

その後何冊か続けて読んで、江國香織は合わないな、と思い、ずっと遠ざかっていた。

肌に合わない感じ、けだるくて、面白くない。江國香織の小説についてずっとそういう感覚があり、どんなに話題になっても手を伸ばすことはなかった。

しかし2年ほど前、とある人から『ホテルカクタス』がすごくいいよ、と勧められ、ちょうど読みたい本もなかったから読み始めた。

それは特別、感動はしなかった。

でもなんだか、昔読んだときには感じなかったじんわり何かが染みてくる感覚があった。

大きな衝動ではなく、ただなんとなく今江國香織を読んでみるべきだ、というインスピレーション。

それから一冊一冊読み始め、気がついた時にはもうどっぷりと私は江國香織に囚われてしまった。

あえて再読していなかった『きらきらひかる』をゆっくり読み返した。

映画も観て、そっちもあんまりよくわからなかった。

そもそも大して感動しなかったんだから印象も薄かったのだろう。

新鮮な気持ちで読み進め、私の脳内に残っているよりも笑子はずっと病んでいて、脆くて、そして健気で可愛い女性だった。

睦月はずっとズルい男だった。

紺くんはやっぱり好きになれない。

 

この作品が生み出されてもう20年以上経っているのに、まったく古びた感じがしない。

色褪せない、という表現とは少し違う、ずっと水分を含み続けているイメージ。

今でも人は病んでいて、愛されたくて、とてもやさしい。

(再読:2013/9/8)

 

 

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