セミナーレポート@星野リゾートビジネスセミナー①

セミナーレポート@星野リゾートビジネスセミナー①

星野リゾートビジネスセミナー:第1回 組織論
受講日程:2013.09.08   10:30-15:30

 

Facebookで流れてきた案内に、「これだ!」と思って即参加申し込みをしたセミナー。

受講中も当日も満足度は高かったが、仕事をしてしみじみ、よい学びを得たなあと感じた。

 

星野リゾートの社内研修『麓村塾』を社外へ開放した全6回のビジネスセミナー第1回、テーマは「組織論」。

講師は雲海テラスで話題の星野リゾートトマムの総支配人佐藤さん。

若々しくてハツラツとしていて、ホテルの総支配人、という肩書が与える印象とは全く違うキャラクターだったけれど、”リーダー”という感じがして、とても好感が持てた。

 

まずは自己紹介から

セミナーの参加費はお弁当込みの5,000円。

講義時間も考えると驚くほど安い。

そして50〜60人くらいは参加者がいるのだろうな、と想像し会場へ着いたら4グループ19名という小規模開催。早い段階で満席closeになっていたので、主催者側がどれくらいこのセミナーのスタートを大切にしているのか感じることが出来た。

最初はグループで1人5分の持ち時間を使っての自己紹介タイム。

まずお手本で佐藤さんから。大学卒業後超大手商社に入り、アルバイトで星野リゾートへ入社、翌年経営破綻した古牧温泉に赴任し支配人として再建を主導するという、ドラマもびっくりな展開。古牧温泉での波瀾万丈な経験は後ほど大いに語っていただいた。

グループでの自己紹介は初めから驚くほど和やかな雰囲気。そしてセミナーは大体受講者の性質が偏るものだけれど、まったく違った。

メーカー、IT、サービス業、行政、年齢もバックグラウンドも異なる。サービス業、もしくは人事系の人が多いのかなと想像していたけれどまったくそんなことはなかった。そしてこんな多様な人々が参加しているということに、星野リゾートの魅力や期待値を実感。

そして自己紹介では「初対面の相手にここまでさらけ出すの?!」とびっくりするようなことまで話が及び、奇妙な仲間意識が生まれていた。あれは何だったのだろうか。講義内容はもとより、グループでの出会いもとても得難いものだった。

 

星野リゾートの特色

何度も繰り返し出てきて、すべての軸になっていることは、

「顧客は友達」「従業員は家族」「組織改革は”手術”ではなく”体質改善”」「教科書通りの戦略」

終わってみると、ほほー、本当だ、と納得。

 

ホテル(リゾート業)は、大きく金融(事業のための資金)、開発、所有(施設)、運営の事業要素があるが、星野リゾートは基本的に「運営」のみに特化している。

開発と所有がないことで固定費とリスクを削減することができる、つまり運営に注力できる。

でも単に効率よく儲けるためにそういうシステムを取り入れているのではなく、

「観光産業の魅力をUP」するためで、「生産性をグローバル・スタンダードにする」という目標がある。

KPIとして経常利益20%、満足度2.5pt(独自の指標)、エコロジカルポイント24.3pt(同)というものを掲げているそう。

セミナーの中では”数値”も頻繁に取り沙汰される。

サービスのクオリティ評価としての顧客満足度、職場環境を確認するためのES、そして稼働率や客単価などなどなど。

膨大なデータを収集し、それをきちんと管理して乖離があれば修正をかける。

当然のこと、と思うかもしれないがそれができていない企業は無数にあり、特に古い体質の観光業界ではどんぶり勘定的な運営が散見されているようだ。そしてそれが近年の観光業界の衰退の原因ともなっている。

”目標値を設定しそれを観察する”、まさに教科書通り、そして当たり前にやらなくてはいけない。

ホテル破綻へと繋がる要素
①顧客志向の低さ
  • ゲストをこなす、さばく
  • 顧客でなく経営者を見ている
  • 満足度を計測/向上させる仕組みがない
  • スタッフが良いサービスを知らない
  • 他の部門のことは「わからない」(部門間の仲が悪い)

つまり”お客様を大切にしない”

 

 ②収益性志向の低さ
  • 稼働率・売上高を優先
  • 安価が唯一の武器、しかし採算無視
  • 収益情報を管理・共有できていない
  • 分業体制による低い生産性

 

③魅力発信力の低さ
  • 基本コンセプトの欠如
  • 魅力は”安さ”(しかない)
  • 自社からの大量広告中心、PUSH戦略

 

顧客満足度が下がると利用者は減る。

利用者が減ったから値下げをする。

収益が減るため、従業員一人あたりの負担が増えたり、対価が見合わなくなりサービスが低下する。

満足度が更に下がる。

 

どうやって打破する
  • 「まず来てもらう」ために…”魅力づくり”と”発信”
  • リピートor良いクチコミ…お客様満足度(品質)の向上
  • 収益性(生産性)を高める

 これらは日本の製造業から学んだ

 

?星野リゾートはどうやったか?
  • 運営コンセプトを決める

→ターゲティング   ※ターゲット外の顧客を”拾わない”ことでもある

  • ハード面の改善
  • 上層部を変える
  • モチベーション向上
  • 研修の充実
  • 人事評価制度見直し

 

重要指標
①CS(顧客満足度)

質の高いサービス、ここでしかできない経験(地域独自の魅力開発)の提供

測定のためアンケート回収率20%以上を目指す

…CSを財務情報と合わせて考える

事例)食事について「満足度は高いが原価率も高い」

   →コストをかけて満足させるのは当然。収益を出し満足度を維持するには?

    ”満足度”の保たれる水準をTry and error(この場合メニューを変える)しながら探る

②MS(マーケティング&セールス)

市場のニーズに基づいて、他社とは異なる魅力を作る

 

③OS(オペレーションシステム)

マルチタスク化:特定の人に依存しないシフト

コストの低い運営、無駄な出費を減らす

 

④ES(従業員満足度)

従業員が何を不満に感じているか、問題の芽を見つける。

ただしESには、無視すべきなものもある。たとえば「負担が重くなる」「チャレンジしたくない」「現状維持で充分」という思考から来ている不満ならば、その層の不満は耳を貸すべきではない。

 

よりよく働くために

 

星野リゾートは「リゾート運営の達人」を目指している。

”仕事の楽しさ””成長の楽しさ”を満喫できる職場であるために

  1. フラットな組織づくり
  2. 総支配人・ユニットディレクター立候補制度(変化の意識がある人を尊重)
  3. 情報はオープンに
  4. 出入り自由の経営会議
  5. 社内ビジネススクール「麓村塾」

 

管理者の重要な役割は”優先順位を決めること”。

社長・上司の顔色を伺って意見できないのは大問題。「社長が言ったから」で思考停止に陥る。そういう人は自信がない、課題から逃げている。頑張る人、正しいことが言える人が残っていくような体制にする必要がある。

目指す組織はサッカーチーム型。それぞれのプレイヤーが役割や指示に制限されず、自分が裁量を持ってベストな結果のために尽力する。

 

成長し、成果を出し続けるために
  • 目的や目標が明確
  • 極力権限移譲(いちいち上司の確認を取らず、最善だと思えば行動していい)
  • ミスを責めずチャレンジを推奨
  • 多くの情報にフリーアクセス
  • 言いたいことを言いたい人に言える
  • 「誰が」言ったのではなく、「何を」言ったか
  • 勝つための戦略をみんなで考える
  • 戦略と優先順位を決める
  • メンバーのモチベーションをアップする
  • そのために人員管理を行う
  • 上司は責任を取る
  • 顧客志向
  • 創造志向
  • 当事者意識
  • 変化への対応
  • チーム成果追求
  • 出来ないではなく”知らない”
  • 共感なくして論理通じず「伝わらなくては意味が無い」
  • 数値化して褒める
  • チャレンジしたら褒める
  • 出来ない理由ではなくどうすればできるか考える
  • 常に前向き、絶対成功する

書ききれないくらいの事例があり、また複数のワークショップをはさみながら、”頭を使って考える””事例を学ぶ””熱い思いを聞く”を繰り返し、染みこむように学ぶことが出来た。

 

一番残ったのは「仕事」とはなにか、ということ。

100%成功できるのは仕事ではなく、作業。

仕事とは、60%ぐらいの確率でしか成功しない(たとえ佐藤さんや、星野社長であっても)。

だからこそ、成功を目指して努力し、実行する決断をする、それが仕事である。

 

とても多くの学びを得ることが出来た。

組織論というテーマだったが、もう一度”働く”ことの大切さ、顧客や同僚を大切に扱う心を思い出させてもらえたと思う。

本当によいセミナーだった。

もっと多くの人に体験してもらいたい、でもちょっとひとりじめしたい気もする、そんな1日だった。

 

=========

今年のGWに、西表島のニラカナイに宿泊した。

短い、慌ただしい滞在で、特別な感動体験があった、というわけではないけれど、普通のホテルで経験するような、待たされたとか、ごちゃごちゃしているとか、裏方さんは無愛想だとか、そういう ことは一切なかった気がする。

私の理想のサービスは「気遣いされていると感じないくらい自然な心配り」で、思い返せばそういう風に過ごせていたのかもしれない。

 

「目の前のお客様が自分の友人ならどう対応するか」

突発的なアクシデント、マニュアルにないことが起きたとき、友達のように大切に、心を持って接する。何百のケーススタディも敵わない、これさえあれば決してブレることがない基準だと思った。

 

月ヶ浜の日没

月ヶ浜の日没

 

 

Pocket