石持浅海『三階に止まる』

石持浅海『三階に止まる』

短篇集。
こういう詰め合わせ型は珍しいのではないかと思ったら、発表年代がバラバラだから一気にまとめたんだなと解釈。
ある程度リライトしているだろうから文章レベルの差は気にならないけれど、明らかに一番新しい表題作が抜けていたと思う。

『宙の鳥籠』
大学時代、親友が殺害された事件について、親友の恋人へ事件のもう一つの真相を突きつけるお話。
デパートの上の観覧車が一周する間に解決するという設定で、松山かなと思ったら明言されていないけど作者が愛媛出身だからそうだと思われる。
なんかまどろっこしいし理屈っぽい、オチも昔の作品によくある展開だなと懐かしい気分になった。

『転校』
全寮制エリート養成高校で突然消えた親友の謎を探る。二重仕掛けになっていて、ホラーアンソロジーとかでよく感じる読了感。世にも奇妙な物語にありそう。

『壁の穴』
体育倉庫で殺害された男子生徒について探る話。なんかネタもストーリーもしょぼしょぼ。

『院長室』
一年前に起こった殺人事件の謎解きをやり直すという物語。アンソロジーの一編ということで、たぶんこれはそのアンソロジー本で読んだほうがよかっただろう。

『ご自由にお使いください』
青酸カリで自殺した青年が引き起こした騒動についてのショートショート。
理詰めでしかない話もこの短さだとなるほど、という感じで読み終われていいかもと思った。

『心中少女』
ネットで出会い一緒に自殺することになったふたりの少女が、
死ぬために訪れた場所で見つけた死体についてその死の原因を考察する。

『黒い方程式』
冒頭からは想像できない展開とオチ。舞台でやると面白そうだなと思った。こういう展開は短編のよさが発揮されるのではないかと感じる。
『三階に止まる』
必ず三階に止まってしまうエレベータの謎に挑む主人公が以外な真実を見つけ出す。
ミステリ要素よりも、文章がとても怖かった。お化けが出てくるより得体が知れないという感情が生み出す恐怖が一番怖さを助長するのではないかと思う。

(読了日:2013/9/22)

 

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