
セミナーレポート@星野リゾートビジネスセミナー③
星野リゾートビジネスセミナー:第3回 日本のおもてなしを世界へ
受講日程:2013.10.19 11:00-16:00
3回目はこれまでと雰囲気も内容も変わった感じ。
テーマは「日本のおもてなしを世界へ」ということで、某クリステルさんにより陳腐化してしまった「おもてなし」というワードに悲哀を感じつつ、どうやったら日本オリジナルの価値である「おもてなし」をバリューに世界へ挑んでいけるか、を掘り下げる。
講師の方は竹富島からいらした方で、とってもパワフルで生命力のあふれた魅力的な方でした。
最初の自己紹介も笑顔と大きな声が印象的で、やはり初対面でプラスのインプレッションを与えることってとても大事だなと、セミナーとは関係ないものの実感。
自分のことを相手に知ってもらい、かつ印象を与えるには生い立ちはもちろんだけれど今の自分に至った転機が大切だなあとしみじみ。
そんなはじまり。
ワークショップメインで習うというより考えさせられる時間だった。
外資ホテルの模倣をするのではなく、日本旅館をそのまま提供するのではなく、
融合して変わっていく方法を考える。
これはホテルに限らずあらゆる業界で考えなくてはいけないこと、成功のためのヒントが見つかるかもしれない。
以下メモ
【日本旅館のアイデンティティ】
日本人とは
和のおもてなしとは
旅館は世界で認められるのか
→自らを知り、違いを知ることから地域魅力創出が始まる
【日本旅館の現状】
・ 泊まりたいホテルランク15位中12が外資系
・ 年2000件廃業
・ 日本に観光に来る人が少ない…日本の観光力は世界で33位
【ホテルと旅館の違い】
◆サービスとおもてなし
− サービスの語源はラテン語のservitorsであり、「奴隷」というニュアンスが含まれ、提供する側とされる側に主従関係が発生する
おもてなし:主客一体
禅宗に由来する言葉
ゲストも協力し一体となりその空間を作る
【「星のや」で実践されるおもてなし】
−軽井沢
・ 世界一の魚料理が味わえます
・ エネルギー自給率が国内最高(75%)
・ 水の流れがうるさい(あえてそういう組み方にしている)
・ お風呂が真っ暗
−京都
・ 船は建築家がデザイン
・ 十三代目の庭師がモダンな庭を作った
・ 保津川に手が届く
−竹富島
・ 88の星座のうち、84を見ることができる
・ シーサー
・ 風車は時計と逆に回る…若返りの意味がある
◎コンセプトとターゲットを明確にする
【非日常の演出】
◆ 通過儀礼としてのレセプション
−日常から非日常へ誘うための仕組み
−一日過ごしたくなる客室をテーマに寝室、バスルーム、リビングで構成し、テラス/広い縁側で外へ
−テレビのない部屋
−自然の光を大切にしているため照明は暗い
−こだわりのハード
◆ 顧客の目を覚ますアクティビティ
−押し付け型ではなく島の人と相互理解の上でのリゾート(竹富島)
−琉球ヌーヴェル(八重山食材×フレンチ)
−島時間スパ
【ホテルと旅館の違い】
サービス:サービス(お客様の要望に応える)−おもてなし(察して提供する)
・ホテルは原状回復、おもてなしは季節ごとに変化を持たせるなど気配りする
・その地域でしかできないこと
・よい意味で期待を裏切る
【日本旅館のアイデンティティとは?】
−千利休の提案:一輪の朝顔…色々なものを削ぎ落した日本の美意識
・顧客のニーズを掴む
・より深く考える、先読みする
・日本人じゃなきゃ気づかないところ
⇔日本的な良さを理解させる(体感させる)ことも必要
【違いをどう捉えるか】
西洋ホテルと日本旅館を比較し、違いをどう捉え表現するか
↓
「日本で最高級の旅館、トップ、ではなく世界スタンダードの中でトップ」
① 西洋ホテルのいいところを取り入れる→世界のホテルスタンダードに合わせた
・ 泊食分離:旅館は2食付きで選択肢がない
食べたいものを食べたい量自由に選択できる
・チェックアウト時間を12時、遅くてもOK
・ルームサービス24時間対応
② 日本旅館の当たり前を見直す→よくないところもあるのでは?
・ 露天風呂:光と闇がくっきりしている方が考え事にふけることができるのでは
・ テレビ:リラックスの妨げになる
③ 日本旅館の強みを進化させる→おもてなしが一番大切な要素
・ 主客一体のおもてなし:ゲスト×スタッフ×季節を組み合わせたおもてなしを演出することを強化
・ 顧客情報の一元化により全員を女将に
→事業が拡大した時にもクオリティを担保するために仕組みを変える
・ それぞれのお客様にカスタマイズしたおもてなしを事前に計画する
④価値観を浸透させる
→メンバーの中に巻き込んでいく
お客さんに喜んでもらいたいという気持ちは共通…表し方は個人や組織によって変わってしまう→共通認識を持ち直す