大島真寿美『三月』

大島真寿美『三月』

40歳を迎え、それぞれ悩みを抱えながら生きている女性を描いた連作短編集。

勤めていた出版社が倒産し、無職になった独身編集者に、東北で主婦をしている短大時代の旧友から電話がかかってきたことから物語がはじまる。

十数年前に自殺した青年がキーとなり、各話の主人公たちが電話をリレーし繋がっていく形式。

現在抱えている問題と学生時代の出来事が交錯しながら進んでいく。
ひとつの物語として、全体としてのストーリーが綺麗に組んであるし、それぞれの話も趣向が凝らしてあって飽きがこない。
同じ出来事も視点を変えてみることで重層的になる。
ちょっと情緒的というかしつこい部分もあるけれど。

ただオチに3.11を使うのがどうしてもしっくりこない。
この作品にかぎらずだけれど、あれほど圧倒的な出来事が起これば価値観がひっくり返るのは当たり前で、物語を超えた了解が形成されてしまう。
それはフィクションとしてはずるいのではないかと思う。

その点が強烈に興醒め、最終話の蛇足感。
これがなくてもまったく問題ない気がするし、惜しい。

(読了日:13/10/19)

 

 

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