長野まゆみ『レモンタルト』

長野まゆみ『レモンタルト』

長野まゆみ作品を初めて読みきった。
10数年前に勧められて以来何度チャレンジしても、いまいちピンとこずだったけれど、なんだか読める気がして読んでみた。
結果とってもよかった。

文語体っぽい文章で読みにくいという印象があったけれど本作は癖が少ない。ただし言い回しや比喩表現がとても独特。以前はこの文体が酔うような感覚がして読み進められなかったものの、本作は非常に心地よかった。

長野まゆみといえば小説版萩尾望都というか、少年耽美系の第一人者というイメージだったが、今回の主人公は20代後半。
若くして姉が病死し、同じ敷地内にあるふたつの家に遺された義兄とそれぞれ住んでいる。

主人公が遭遇する奇妙な出来事と義兄との関係を軸とした連作短編。
何の脈絡もなく主人公が襲われたりと、突飛な展開に最初は理解が追いつかなかったが、童話では熊が喋っても不思議に感じないように、飛躍するストーリーも自然になじんだ。
主人公が窮地に陥ったところで義兄が助けてくれるという黄金のパターンである。

しかし、ここまでド直球のBLを書く人だとは思わなかった。調べたら最近そういう傾向になってきたらしい。
一般文芸のレーベルで出していいのかギリギリの線に感じたが、こういうのが癖になるのはわかる気がする。
長野まゆみのファンが深く長く熱狂的な理由をようやく理解した。

圧倒的に女性向けだと思うが男性が読むとどう感じるのか少しだけ気になるものの、男性で長野まゆみファンと聞いたらちょっとリアクションに困る。

(読了日:13/11/17)

 

 

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