西川美和 『映画にまつわるXについて』

西川美和 『映画にまつわるXについて』

映画監督西川美和のエッセイ集。
10数ページ程度の連載をまとめたもの、数ページの軽い文章、
『ゆれる』にまつわるもの、その他監督業のことの4部構成になっている。

視点が深く鋭く、当然感性細やかなのが存分に溢れ出ているものの、
男性的というか、なよなよしたところのない、さっぱりくっきりした文章である。
小説を読んだ時にも感じた点。

どの話も示唆に富んでいて、はっとするような思考を見せられるけれど、
オーディションの話と、吉原で働く女性のインタビュー、松たか子とクレーン免許を取りに行ったエピソードが特によかった。

撮影に使ったドブネズミをペットにする助監督など、
西川さんを筆頭に出てくる映画人も魅力的である。
映画というものがどんな風に撮られるのかを垣間見ることができたのも新鮮。

軽やかで愉快な文章ながらとても太い芯が通っている、下手な物語よりもずっしり残るエッセイだった。

『夢売るふたり』のエピソードが多々出てくるから、
観てから読むとより楽しめるように思う。

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