窪美澄『ふがいない僕は空を見た』

窪美澄『ふがいない僕は空を見た』

コミケで出会った年上の主婦とアブノーマルな性関係を続ける高校一年生の斉藤くんのひと夏を描いた『ミクマリ』。

『世界ヲ覆フ蜘蛛ノ糸』は、斉藤くんと不倫する主婦が主人公。
彼女自身もかなりズレた感覚の持ち主ながら、
それに輪をかけてすさまじい夫と姑が登場し、ズレたままに物語は進む。
ただ姑に強要されるまま不妊治療を続け、やがて斉藤くんと不倫に至る様は、状況としては異常だけど妙に腑に落ちるものがあった。

『2035年のオーガズム』
斉藤くんの彼女が主人公となり、家族の問題を中心に描かれる。
これはイマイチ面白さがわからなかった。

『セイタカアワダチソウの空』
ボケた祖母と二人で暮らす高校生(斉藤くんの同級生)が主人公。
一番苦しい物語でまったくもって救いがない。
主人公のバイトの先輩である田岡さんの役割が深い。
人も物事も、目に見える部分だけでできているわけではないのである。

『花粉・受粉』
助産院を営む斉藤くんのお母さんの話。
全体の〆としての役割も果たしている。

最後の二篇がよかった。
文章がかなりクドく密度が高いため読むのにエネルギーが必要である。

(読了日:12/10/13)

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