長野まゆみ『紺極まる』

長野まゆみ『紺極まる』

『鳩の栖』に収録された短編の続編。

『紺極まる』
高校を卒業し、東京で浪人生活を送り始めた真木の物語。
主人公は真木と同居することになるバツイチの予備校講師で、母親が突然家から出て行ったり、唐突に妻から離婚を切り出されたりと家族に関するトラウマを持っている。
主人公は前半特に自分勝手な思考回路でかなりイライラするのだが、それを乗り越えればなかなかに切ない恋愛物語である。
「だんだん誰かを好きになっていく」というパターン。
この講師は長野まゆみ作品の主人公としては珍しいタイプなのではないかと感じた。非常に人間くさい。
『五月の鯉』
時間が戻り、高校3年生の出来事。
片思いをしている浦里に、中学時代の同級生が会いに来ることを知り、監視のために従姉と、その見合い相手(であり兄の恋人)と散策する。
いじらしい真木と天然の浦里。
『此の花咲く哉』
『紺極まる』の後、大学に無事合格した真木と浦里のエピローグ的な掌編。
真木に穏やかな恋愛が訪れるのか、と思いきやの展開である。
講師が不憫だ。

(読了日:14/1/21)

 

Pocket