東野圭吾『ナミヤ雑貨店の奇蹟』

東野圭吾『ナミヤ雑貨店の奇蹟』

久しぶりの短編、しかも珍しくミステリではない。
意表を突かれた。

何か犯罪をしでかしたらしい3人組が忍び込んだ廃屋が、タイトルの『ナミヤ雑貨店』。
30年以上前に店をたたんだ雑貨店では、かつて店主の「悩み相談」が行われていた。
最初はお店の一言カードのような他愛のないやり取りだったが、
やがて夜、店のシャッターの郵便受けから手紙を入れると、翌朝牛乳入れに返事が入っているという形で店主と相談者とのやり取りが行われるようになる。

奇跡とタイトルに示されているように、ある夜起きた奇跡のような話。
3人が店に潜んでいると、突然悩み相談の手紙が現れる。
気まぐれに返事を書いてみたら、すぐに相談者からまた手紙が来た。
店の内と外で33年の時間の隔たりがあり、
相談の手紙は33年前から届けられたことに気づいて、3人は寄せられた相談に返事を書き始める。

相談者を変えて、3人が答える話が続くのかと思えば、5話は全て構成が異なり、
「郵便受けに悩みを書いた手紙を入れれば、答えが返ってくる」という図式をベースとしていろいろな角度から悩みを抱え、決断して前に進む人たちを描いている。

そして全ての登場人物たちが綺麗にリンクしていて、もう短編なのに一気に読むしかないだろうという面白さ。

久しぶりに期待以上の東野圭吾作品。
展開はベタ。
こんなにうまくいくかよ~、と思うところもあるけれど、
そんな奇跡もまたいいか、と感じてしまう、人の優しさと未来への希望を信じたくなるお話。
それにここでこうくるんだ!というどんでん返しもあり。
人生って悪くないかもしれないと思わされる、じんわり泣ける、読んでよかったなと思う本です。

(読了日:12/3/28)

 

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