
小川洋子『琥珀のまたたき』
幼い末娘が急死したことをきっかけに、母親は「魔犬」から3人の子供を守るため高原のはずれにひっそりと建つ別荘に引きこもる。 子どもたちは元の名を捨てさせられ、長女はオパール、この物語の語り手となる長男は琥珀、まだ幼い次男は…

小川洋子『貴婦人Aの蘇生』
アナスタシア伝説を下敷きとした物語。 大学生の私は学費の援助を受ける代わりに未亡人となったロシア人の伯母と同居を始める。 死んだ伯父が蒐集した剥製に囲まれて平和に暮らしていたが、剥製マニアとの出会いでふたりの日々が変化し…

小川洋子『妄想気分』
小川洋子エッセイ。 定番の阪神ネタは面白いし、アンネ関連の話題は涙腺がゆるむ。創作については独自の感性を感じる。 ただ、半分以上”どこかで読んだ感”が消えない。 同じ話を言い方を変えて書いているのか、そもそも他の本に収録…

小川洋子『アンジェリーナ』
佐野元春の歌をモチーフとした10編の短篇集。 それぞれ20ページほどの短い話だけれど、小川洋子のエッセンスがぎゅっと詰まっている。 日常の中にふっと入ってくる非現実な世界。 『バルセロナの夜』 仕事を無くし図書館に入り浸…

小川洋子『言葉の標本』
小川洋子の言葉(物語)を標本化し、一冊の本を”博物館”に見立てた意欲的な作品。 2010年は紙の本が消えていく始まりの年かもしれないという不穏なはじまり。 電子書籍の台頭だけでなく、そもそも紙というものは脆く傷みやすく、…

小川洋子『小川洋子の陶酔短篇箱』
小川洋子の選んだ短編とその作品に絡めた短いエッセイのセット16編。 比較的古い作品が多く、小川さん自身が若い頃から愛読していた作品ばかりなのだろう。 どこかそれぞれ、小川洋子の世界と似通ったものが感じられる。 泉鏡花の『…

小川洋子『物語の役割』
小川洋子の3講演をまとめた1冊。 タイトル通りに物語の効用、書くことについての内容となっている。 これまでエッセイでも語られる内容なのだが、よい話は何度聞いても味があるのである。 ちくまプリマー新書は中高生向けのレーベル…

小川洋子『妖精が舞い下りる夜』
小川さんが30歳前後のときに書いたエッセイをまとめた一冊。 『妊娠カレンダー』で芥川賞を受賞し、子供が生まれて数年という期間。 書くことについて、自著についての振り返り、幼少期の思い出や作家となってからの体験など、散漫な…

小川洋子『博士の本棚』
タイトル通り、小川さんが心打たれた本、思い出に残る本について書いたエッセイ集。 +犬や家族、仕事の話など。 それぞれの本や、身の回りの出来事に関する考察も独特の視線で興味深いけれど、一番心に響くのは、書くことを軸とした”…

小川洋子・河合隼雄『生きるとは、自分の物語をつくること』
小川洋子と臨床心理学者河合隼雄との対談2編と、河合氏の死によりもうやってこない次回以降を埋める小川さんの長いあとがきで構成されている。 ふたりの会話は非常に軽やかでさっぱりしている。 高尚なこと、哲学的なこと、デリケート…